プレコーラスとは|音楽用語としての意味
プレコーラスとは、曲の中でヴァース(Aメロ)とコーラス(サビ)の間に置かれ、サビに向けて期待を高めていく短い部分のことです。「コーラス(サビ)の前(プレ)」という名前のとおり、サビの直前で聴き手の気持ちを持ち上げ、「ここからサビが来る」と予感させる役割を持っています。
ポップスやロックでは、落ち着いたヴァースで状況を語り、プレコーラスで少しずつ緊張感を高め、コーラスで一気に解放する、という流れがよく使われます。プレコーラスは、この「語る」と「解放する」の間をつなぐ助走区間だと考えるとわかりやすいでしょう。
プレコーラスの意味をひとことで言うと
プレコーラスの意味をひとことでまとめると、「サビを最高の状態で迎えるための準備の部分」です。ヴァースのままいきなりサビに入ると、盛り上がりの落差が大きすぎて唐突に聞こえることがあります。反対に、ヴァースと同じ調子のままサビに入ると、サビが目立たなくなります。プレコーラスは、その間で音の高さやリズム、伴奏の厚みを少しずつ変え、サビへの坂道をつくります。
サビそのものではないため、プレコーラスは曲のタイトルや一番印象に残るフレーズを歌う場所ではありません。むしろ「まだ言い切らない」「もう少しで答えが出る」という、ためを作る場所です。この「ため」があるからこそ、次のサビで聴き手がすっきりとした解放感を味わえます。
音楽用語としてのプレコーラスの定義
音楽用語としてのプレコーラスは、ポピュラー音楽の曲の構成を説明するときに使う言葉です。クラシックの楽式(ソナタ形式など)の用語ではなく、主にポップス・ロック・R&B・K-POPなど、ヴァースとコーラスを繰り返す「ヴァース・コーラス形式」の曲で使われます。音楽の構成を分析する本や作曲講座では、次のように整理されるのが一般的です。
- 位置
- ヴァースの後、コーラスの前。1番・2番のサビの前など、サビのたびに繰り返し現れることが多い
- 長さ
- ヴァースやコーラスより短めで、4小節前後から8小節程度が多い
- 響き
- ヴァースともコーラスとも違うコード進行やメロディーを使うことが多い
曲によっては、プレコーラスを持たずにヴァースから直接コーラスへ進むものもあります。プレコーラスは「あると効果的な部品」であって、どの曲にも必ずあるわけではありません。
曲の中でプレコーラスが果たす3つの役割
プレコーラスが曲の中で担う役割は、大きく次の3つです。
- サビへの期待を高める:音の高さや音量、リズムの細かさを少しずつ上げ、「もうすぐ何かが来る」という緊張感をつくります
- ヴァースとサビの落差をなめらかにする:雰囲気の違うヴァースとサビを、違和感なくつなぎます
- 繰り返しに変化をつける:ヴァースとコーラスだけの往復に第3のメロディーが加わることで、曲が単調になりにくくなります
聴き手の側から見ると、プレコーラスは「サビが近づいている合図」でもあります。何度か聴いた曲なら、プレコーラスのメロディーが始まった瞬間にサビを思い浮かべるはずです。この予測がきちんと当たることで、聴き手はサビを気持ちよく受け取れます。
プレコーラスは英語で pre-chorus|プリコーラスなど呼び方の違い
プレコーラスは英語の pre-chorus をカタカナにした言葉です。英語圏では曲の構成を verse(ヴァース)・pre-chorus(プレコーラス)・chorus(コーラス)・bridge(ブリッジ)という単位で数えるのが一般的で、楽譜やコード譜、DAWのマーカーにも「Pre-Chorus」と書き込まれます。日本語のカタカナ表記はいくつかあり、同じものを指していても呼び方がばらばらなのが混乱のもとです。
英語の pre-chorus の成り立ち
英語の pre-chorus は、「前の」を意味する接頭辞 pre- と、「サビ」を意味する chorus を組み合わせた言葉です。直訳すると「サビの前」で、名前そのものが曲の中での位置を表しています。
ここで注意したいのが chorus という単語です。日本語で「コーラス」と言うと、合唱やハモり(バックコーラス)を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし曲の構成の話をするときの chorus は、繰り返し歌われる曲の中心部分、つまりサビのことです。プレコーラスを「ハモりの前の部分」と誤解しないようにしましょう。
プリコーラス・プレサビなど日本語での表記ゆれ
pre の発音は英語では「プリー」に近いため、日本語ではプリコーラスと表記されることもあります。プレコーラスとプリコーラスは同じものを指す言葉で、どちらが正しいということはありません。作曲の解説では「プレコーラス」、英語の発音を意識した説明では「プリコーラス」と書かれる傾向があります。
ほかにも、日本の現場では単に「サビ前」と呼ばれることもあります。これも「サビの直前でサビへつなぐ部分」という意味で使われています。
英語圏でのほかの呼び方
英語圏の作曲の本や講座では、pre-chorus の別名として次のような言葉も使われます。
| 英語の呼び方 | ニュアンス |
|---|---|
| lift(リフト) | 曲を持ち上げる部分。短いものを指すことが多い |
| build(ビルド) | 盛り上がりを積み上げる部分 |
| channel(チャンネル) | サビへ流し込む水路。ただしブリッジの意味で使う人もいる |
| transitional bridge | ヴァースとサビを渡す「つなぎの橋」 |
とくに channel や transitional bridge は、人によってはブリッジ(後半に一度だけ出てくる部分)を指すこともある言葉です。英語の資料を読むときは、その言葉が曲のどこを指しているかを前後の文脈で確かめるのが安全です。
プレコーラスとBメロの違い
日本のポップスでは、曲の構成を「Aメロ・Bメロ・サビ」と呼ぶのが一般的です。このうち、Aメロとサビの間にあるBメロが、英語でいうプレコーラスにほぼ相当します。つまり、J-POPの「Aメロ→Bメロ→サビ」は、洋楽の「ヴァース→プレコーラス→コーラス」と同じ並びだと考えて差し支えありません。
ただし「ほぼ」と書いたのには理由があります。Bメロとプレコーラスは生まれた背景が違うため、使われ方に少しずれがあるのです。
Bメロはプレコーラスとほぼ同じ位置にある
Bメロは、AメロとBメロとサビという「メロディーの順番」で名付けられた呼び方です。一方のプレコーラスは、「サビの前」という「役割」で名付けられた呼び方です。多くの曲では、2番目に出てくるメロディーがそのままサビへの助走を担うため、Bメロ=プレコーラスとして問題なく通じます。
Bメロとプレコーラスがずれるケース
Bメロとプレコーラスが一致しないのは、主に次のようなケースです。
- Bメロが長く、独立したメロディーになっている曲:J-POPのBメロは8小節から16小節と長めで、それ自体が聴かせどころになっていることがあります。洋楽のプレコーラスは4小節前後の短い助走であることが多く、長さと存在感に違いがあります
- Bメロのあとにさらに短いつなぎがある曲:Bメロとサビの間に2小節ほどの「サビ前のつなぎ」がある場合、英語ではそのつなぎ部分だけをプレコーラスと呼ぶ人もいます
- Bメロがない曲:Aメロから直接サビに入る曲では、プレコーラスにあたる部分がありません
また、日本ではBメロを「ブリッジ」と呼ぶ人もいます。英語のブリッジは後半に一度だけ出てくる別の部分を指すため、この呼び方は誤解のもとになります。違いは後の章で詳しく整理します。
AメロとBメロの聴き分け方
曲を聴いて「どこからがBメロ(プレコーラス)か」を見分けるには、次の変化に注目します。
- メロディーの音域が上がる:Aメロより高い音を使い始めたら、Bメロに入った合図です
- コードの流れが変わる:Aメロで繰り返していたコード進行から、サビに向かう別の進行に切り替わります
- 伴奏が変わる:ドラムのリズムが細かくなったり、逆にいったん楽器が減って静かになったりします
- 歌詞の調子が変わる:状況説明から、気持ちや問いかけへと言葉の温度が上がります
これらのうち2つ以上が同時に起きている場所を探すと、Bメロ(プレコーラス)の始まりを見つけやすくなります。
曲の中でプレコーラスはどこか|バース・コーラスとの関係
プレコーラスは、曲全体の中ではサビ(コーラス)が来るたびにその直前に置かれるのが基本です。1番のサビの前にも、2番のサビの前にもプレコーラスがあり、同じメロディーが繰り返されます。曲全体の並び方は曲の構成の解説で詳しくまとめているので、ここではプレコーラスの前後に絞って見ていきます。
プレコーラスがある曲の構成の基本形
プレコーラスがある曲の、もっとも標準的な構成は次のとおりです。
- イントロ
- ヴァース(1番)→ プレコーラス → コーラス
- ヴァース(2番)→ プレコーラス → コーラス
- ブリッジ
- コーラス(ラストサビ)
- アウトロ
「ヴァース→プレコーラス→コーラス」の3つがひとまとまりになり、それが2回繰り返されるのがポイントです。ラストサビの前はブリッジがプレコーラスの代わりを務めることが多く、ここではプレコーラスを省くか、短く縮めて使う曲もあります。
バース(ヴァース)とプレコーラスの違い
プレコーラスの直前にあるのがバース(ヴァース、verse)です。英語の verse はカタカナでバースともヴァースとも書かれ、どちらも同じ部分を指します。日本の呼び方ではAメロにあたり、詳しくはヴァースの解説で扱っています。
| 比べる点 | バース(ヴァース) | プレコーラス |
|---|---|---|
| 役割 | 状況や物語を語る | サビへの期待を高める |
| 歌詞 | 1番と2番で変わる | 1番と2番で同じか、一部だけ変わる |
| 音の高さ | 低め・落ち着いている | 少しずつ上がっていく |
| 長さ | 8〜16小節が多い | 4〜8小節が多い |
とくに違いが出るのが歌詞です。バースの歌詞は1番と2番で物語が進むように書き分けるのに対し、プレコーラスの歌詞は同じ言葉を繰り返すか、一部だけを入れ替えることがよくあります。これはサビと同じく「覚えやすさ」を優先しているためで、プレコーラスがサビに近い性格を持っていることを表しています。
プレコーラスの長さと、聴いて見つけるコツ
プレコーラスの長さは、4小節前後の短いものから8小節程度のものまでさまざまです。ABBAの「Dancing Queen」のように、ヴァースとサビの間にほんの一言程度の短いつなぎしか置かない曲もあれば、チャーリー・プースの「Attention」のように、サビの前にはっきりと独立したプレコーラスを持つ曲もあります。
曲の中でプレコーラスを見つけるコツは、サビから逆にたどることです。まずサビの始まりを見つけ、その直前で「ヴァースとは違う、サビとも違う」メロディーが流れていないかを確かめます。そこに数小節のまとまりがあれば、それがプレコーラスです。
プレコーラスとブリッジの違い
プレコーラスとよく混同されるのがブリッジです。どちらも「ほかの部分をつなぐ」働きを持つため、呼び方が入り混じりがちですが、英語の曲の構成でいうブリッジとプレコーラスは別のものです。いちばん大きな違いは、プレコーラスはサビのたびに繰り返し出てくるのに対し、ブリッジは曲の後半に基本的に一度しか出てこない点です。ブリッジそのものの詳しい意味は曲のブリッジの解説を参照してください。
回数・位置・役割で比べる
| 比べる点 | プレコーラス | ブリッジ |
|---|---|---|
| 出てくる回数 | サビのたびに繰り返す | 基本的に1回だけ |
| 位置 | ヴァースとサビの間 | 2番のサビの後、ラストサビの前 |
| 役割 | サビへの期待を高める | 景色を変えて最後のサビを新鮮にする |
| 日本の呼び方 | Bメロ | Cメロ |
役割の違いを言い換えると、プレコーラスは「サビへの坂道」、ブリッジは「サビからいったん離れる寄り道」です。プレコーラスがサビと同じ方向へ気持ちを押し上げるのに対し、ブリッジはコードやメロディー、歌詞の視点を大きく変えて、それまでの流れから一度はずれます。
Bメロを「ブリッジ」と呼ぶ場合の注意
日本では、AメロとサビをつなぐBメロを「ブリッジ」と呼ぶ人もいます。「サビへ渡る橋」という意味では自然な呼び方で、英語でもプレコーラスを transitional bridge(つなぎの橋)と呼ぶ例があります。
しかし、英語圏の作曲や楽譜で単に bridge と書かれていれば、それは後半に一度だけ出てくる部分(日本でいうCメロ)を指すのが一般的です。バンドの打ち合わせや楽譜のやりとりで「ブリッジから」と言ったとき、相手がBメロを思い浮かべるかCメロを思い浮かべるかで、演奏を始める位置がずれてしまいます。人と一緒に音楽をやるときは、Bメロは「プレコーラス」または「Bメロ」と呼ぶと誤解を防げます。
プレコーラスとブリッジの両方がある曲の流れ
プレコーラスとブリッジの両方を持つ曲では、盛り上がりの設計が二段構えになります。前半は「ヴァース→プレコーラス→コーラス」を2回繰り返して、サビへの坂道を体に覚えさせます。後半ではブリッジで一度その坂道から外れ、聴き手の予想を裏切ってから、ラストサビで最大の盛り上がりに戻ります。
このとき、ブリッジのあとにもう一度プレコーラスを短く挟み、「いつもの坂道」を思い出させてからラストサビに入る曲もあります。プレコーラスは、聴き手にサビの到来を知らせる「合図」として、最後まで使える部品なのです。
プレコーラスの作り方|サビへの坂道をつくる4つの方法
曲作りでプレコーラスを作るときの目標は、ヴァースより少しだけ高い位置まで聴き手を連れていき、サビの一歩手前で手を離すことです。プレコーラスで盛り上げすぎるとサビが負けてしまい、盛り上げが足りないとサビが唐突に聞こえます。その加減をつくる代表的な方法が、メロディー・コード・リズム・歌詞の4つです。
プレコーラスの作り方の基本手順
プレコーラスは、ヴァースやサビより後に作ると失敗しにくくなります。サビという「目的地」が決まってからのほうが、そこへ向かう坂道の角度を決めやすいからです。
- サビとヴァースを先に作る:目的地(サビ)と出発点(ヴァース)の高さを把握します
- サビの最初の音を確かめる:プレコーラスの最後の音から、サビの最初の音へ自然に移れるかを意識します
- 4小節か8小節で仮に作る:まずは短く作り、長すぎると感じたら縮めます
- ヴァースからサビまで通して聴く:3つをつなげて聴き、サビの入りが気持ちよいかを確かめます
メロディーとコードで高める
メロディーは、ヴァースより高い音域を使い、フレーズの終わりに向けて少しずつ上がっていく形が基本です。ただし、サビで使う一番高い音はプレコーラスでは使わずに取っておきます。サビで初めて最高音が出ることで、サビの解放感が際立ちます。
コードでは、落ち着いた和音(主和音)に戻らない進行を使うのが定番です。プレコーラスの最後をドミナント(V)やサブドミナント(IV)のような「まだ終わっていない」響きの和音にしておくと、聴き手の耳は自然に次の和音、つまりサビの頭を待ち受けます。ヴァースで使っていないコードを1つ加えるだけでも、景色が変わった印象をつくれます。
リズムと伴奏で高める
リズム面では、2つの正反対の方法があります。1つは、ドラムのリズムを細かくしたり、スネアを連打したりしてだんだん音を詰めていく方法です。もう1つは、プレコーラスの最後で伴奏をいったん止めたり、音数を減らしたりして一瞬の静けさをつくる方法です。直前に音が消えると、次のサビの一拍目が大きく聞こえます。
伴奏の楽器を増やしていく方法もよく使われます。ヴァースではギターとベースだけ、プレコーラスでストリングスやシンセサイザーが加わり、サビで全部の楽器がそろう、というように厚みを段階的に上げると、自然な坂道ができます。
歌詞で高める
歌詞は、サビで言い切る答えの直前で、問いかけや迷いを置くと効果的です。ヴァースで状況を説明し、プレコーラスで「本当は」「なのに」といった気持ちの揺れを描き、サビで結論やタイトルを歌う、という流れにすると、言葉の面でもサビへの期待が高まります。
歌詞の量は、ヴァースより少なめにするのが一般的です。1音に1文字を当てて言葉を詰め込むより、長く伸ばす音を増やしたほうが、歌い手も熱量を上げやすくなります。
Sunoでプレコーラスを指定する方法
音楽生成AIのSuno(スーノ)では、歌詞の中にパートを表すタグを書くことで、プレコーラスを入れる位置をある程度指定できます。AIに任せたままだと、ヴァースからいきなりサビに入ったり、サビ前の盛り上がりが弱かったりすることがあるため、プレコーラスを明示しておくと曲の起伏をコントロールしやすくなります。Sunoそのものの使い方はSuno AIの解説を参照してください。
歌詞に [Pre-Chorus] タグを書く
Sunoで歌詞を自分で入力するモード(カスタムモード)では、各パートの歌詞の前に、角かっこで囲んだタグを書くのが一般的です。プレコーラスは英語の用語どおり [Pre-Chorus] と書きます。
ポイントは、1番と2番の両方のサビの前に [Pre-Chorus] を書くことです。プレコーラスはサビのたびに繰り返す部分なので、片方だけに書くと、2番ではヴァースから直接サビに入る構成になりがちです。
プレコーラスを思いどおりにするコツ
- 歌詞は短めにする:プレコーラスの歌詞を2〜4行程度にすると、短い助走として扱われやすくなります
- 1番と2番で同じ歌詞にする:人間の作曲と同じく、プレコーラスの歌詞をそろえると繰り返しのパートとして認識されやすくなります
- 雰囲気はスタイル欄で指定する:ジャンルやテンポ、楽器などはスタイル欄に書き、歌詞欄のタグとは分けます
- 思いどおりにならなければ何度か生成する:タグはあくまで目安で、AIが必ず従うとは限りません
Sunoのタグの効き方や機能はアップデートで変わることがあります。最新の使い方や商用利用の条件は、Sunoの公式サイトで確認してください。ほかのタグ([Verse]・[Chorus]・[Bridge] など)の一覧は、曲の構成の解説の中でまとめています。
プレコーラスの歌い方|サビを活かすボーカルのコツ
歌う側にとってのプレコーラスは、サビのための「助走」と「準備」の時間です。ここでの歌い方しだいで、サビが気持ちよく決まるかどうかが大きく変わります。カラオケでも、サビだけ頑張ってプレコーラスをなんとなく歌っていると、サビの盛り上がりが伝わりにくくなります。
音量と熱量は「8割」までにとどめる
プレコーラスでは、ヴァースより声量と熱量を上げていきますが、サビを10としたら8くらいまでにとどめるのがコツです。プレコーラスで全力を出してしまうと、サビでそれ以上上げる余地がなくなり、かえってサビが平坦に聞こえます。
具体的には、プレコーラスの最初はヴァースに近い声量で入り、フレーズごとに少しずつ音量を上げていきます。ロングトーン(長く伸ばす音)では、音を伸ばしながら少しだけ強くするクレッシェンドを使うと、サビへ向かう流れが自然に伝わります。
サビ直前のブレスを確保する
プレコーラスで最も大切なのが、サビに入る前の息継ぎ(ブレス)です。プレコーラスの最後で息が足りなくなると、サビの一声目が弱くなったり、音程が下がったりします。練習では、歌詞カードのプレコーラスの終わりに息継ぎの印を書き込み、そこで必ず深く吸うと決めておきましょう。
プレコーラスが途切れなく続く曲では、途中の短い休符で少しずつ吸う「こまめなブレス」を使います。息の吸い方と保ち方は歌のブレスの解説で詳しく扱っています。
音程が上がる部分で崩れないための練習
プレコーラスは音域が上がっていく部分なので、音程が不安定になりやすい場所でもあります。次の順番で練習すると、崩れにくくなります。
- プレコーラスだけを取り出して歌う:サビに気を取られず、上がっていくメロディーの音程を確かめます
- 「ウー」や「ア」だけで歌う:歌詞を外して母音だけにすると、音程と音量の変化に集中できます
- プレコーラスからサビの頭まで歌う:ブレスの位置とサビの一声目までをセットで練習します
- ヴァースから通して歌う:最後に全体の流れの中で、音量の上げ方を確認します
高い音で喉が締まる、声が裏返るといった悩みがある場合は、発声の土台から見直すのが近道です。のどに痛みや違和感が続く場合は無理をせず、耳鼻咽喉科などの専門医に相談してください。
よくある質問
- プレコーラスとは簡単に言うと何ですか?
- ヴァース(Aメロ)とコーラス(サビ)の間にある、サビへの期待を高めるための短い部分です。J-POPでいうBメロにほぼ相当します。
- プレコーラスとプリコーラスは違うものですか?
- 同じものです。英語の pre-chorus をカタカナにするときの表記ゆれで、どちらを使っても意味は変わりません。
- プレコーラスは必ずなければいけませんか?
- 必須ではありません。ヴァースから直接サビに入る曲も多くあります。サビへの流れが唐突に感じられるときや、ヴァースとサビの雰囲気が大きく違うときに入れると効果的です。
- プレコーラスとブリッジはどう見分けますか?
- 出てくる回数で見分けます。サビの前に毎回現れるのがプレコーラス、曲の後半に一度だけ現れるのがブリッジです。
- プレコーラスの歌詞は1番と2番で変えるべきですか?
- 決まりはありませんが、同じ歌詞にするか一部だけ変える曲が多く見られます。繰り返すことで聴き手が覚えやすくなり、サビへの合図として働きやすくなります。
まとめ
プレコーラスは、ヴァースとコーラスの間でサビへの期待を高める部分です。この記事の要点を振り返ります。
- プレコーラスとは、英語の pre-chorus(サビの前)のことで、プリコーラスとも表記される
- J-POPのBメロにほぼ相当するが、長さや扱いに少し違いがある
- サビのたびに繰り返し出てくる点が、1回だけのブリッジとの大きな違い
- 作るときはメロディー・コード・リズム・歌詞の4つで少しずつ盛り上げ、最高音はサビに取っておく
- 歌うときは音量を8割までにとどめ、サビ直前のブレスを確保する
プレコーラスの歌い方ひとつで、同じ曲でもサビの印象は大きく変わります。音量の上げ方や息継ぎ、高い音への移り方を自分だけで身につけるのが難しいと感じたら、ボイストレーナーに実際の歌を聴いてもらうのが近道です。ボイストレーニング教室の検索から、お住まいの地域や最寄り駅で通いやすい教室を探してみてください。

