音程とは|意味をわかりやすく簡単に解説
音程(おんてい)とは、2つの音の高さの差(隔たり)のことです。たとえば「ド」と「ミ」は、「ド」と「ソ」よりも高さの差が小さい、つまり音程が狭い関係にあります。音程は「どれだけ離れているか」を表す言葉なので、1つの音だけを取り出して「この音の音程は」と言うのは、音楽理論のうえでは本来の使い方ではありません。
一方で、歌やカラオケの世界では「音程が合っている」「音程が外れた」のように、メロディの正しい高さで歌えているかという意味でも広く使われています。この記事では、まず音楽用語としての音程の意味を押さえ、そのあとで歌の音程の話に進みます。
音楽での音程の定義
音楽理論(楽典)での音程の定義は「2音間の高さの隔たり」です。隔たりの大きさは度数という単位で数え、同じ高さの音どうしを1度、ドとレを2度、ドとミを3度……と数えます。さらに度数だけでは区別しきれない差を「長・短・完全・増・減」という種類で表し、「長3度」「完全5度」のように呼びます。度数の数え方は第4章、種類の見分け方は第5章で詳しく解説します。
2つの音を同時に鳴らしたときの隔たりを和声的音程、順番に鳴らしたときの隔たりを旋律的音程と呼び分けることもあります。コード(和音)の響きは和声的音程、メロディの動きは旋律的音程の話です。
歌やカラオケでいう「音程」の意味
カラオケで音程とは、多くの場合「お手本のメロディの高さと、自分の声の高さが一致しているか」のことです。採点機能の「音程正確率」や画面に流れる「音程バー」もこの意味で使われています。音楽理論の言い方に直すと「基準となる音(メロディ)と自分の声との音程が0に近いか」を見ていることになるので、2つの使い方はつながっています。
歌で音程が合っているかを考えるときも、実は「前の音からどれだけ上がるか・下がるか」という2音間の差を感じ取れているかが土台になります。ドからミへ跳ぶメロディを歌うとき、ミの高さを単独で覚えているのではなく「ドから3度上」という距離で捉えているからです。音程の取り方・合わせ方は第13章で扱います。
音程の読み方と、簡単にいうと何か
音程は「おんてい」と読みます。「音程って何?」と聞かれたら、簡単に言うと「音と音の間の距離」です。階段にたとえると、1つ1つの段が音の高さ、段と段の間が何段離れているかが音程にあたります。ピアノの鍵盤なら、2つの鍵盤が左右にどれだけ離れているかが音程の大きさで、鍵盤のイラスト(図)で見ると一覧で把握しやすくなります(第4章)。
- 1つの音の高さ → 音高(ピッチ)
- 2つの音の高さの差 → 音程(度数で数える)
- 出せる一番低い音から一番高い音までの幅 → 音域
このように「高さ」「差」「幅」を分けて考えると、音程という言葉の意味がぐっとわかりやすくなります。似た言葉との違いは次の章でまとめます。
音程と音高・音階・ピッチ・キー・音域の違い
音程のまわりには「音高」「ピッチ」「音階」「キー」「音域」など、似ていて混同されやすい言葉がたくさんあります。どれも音の高さに関する言葉ですが、指しているものが「1つの音の高さ」なのか「2音の差」なのか「音の並び」なのかで区別できます。
| 言葉 | 指すもの | 例 |
|---|---|---|
| 音程 | 2つの音の高さの差 | ドとソは完全5度 |
| 音高・ピッチ | 1つの音の高さ | A4=440Hz、声の高さ |
| 音階(スケール) | 決まった音程で並べた音の列 | ドレミファソラシド |
| キー(調) | 曲の中心になる音と音階 | ハ長調、キーを+2 |
| 音域 | 出せる・使う音の範囲 | mid1A〜hiA |
| オクターブ | 周波数が2倍になる音程(8度) | 低いドと高いド |
| メロディ(旋律) | 音高とリズムが連なった線 | 歌の主旋律 |
音程と音高(声の高さ)・ピッチの違い
音高は1つの音の高さそのもので、英語ではピッチ(pitch)と呼びます。「声の高さ」も音高の一種です。これに対して音程は2つの音高の差なので、音高と音程の違いは「点」と「距離」の違いと考えるとわかりやすいでしょう。
ただし日常の会話やボイトレの現場では、「ピッチが合っている」と「音程が合っている」がほぼ同じ意味で使われます。ピッチとは何か、歌でのピッチと音程の使い分けは歌のピッチとはで詳しく解説しています。
音程と音階の違い
音階は、ドレミファソラシドのように決まった音程の並びで音を並べたものです。英語ではスケールと呼びます。長音階(メジャースケール)は「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」という音程の並びでできていて、この並び方の違いが明るい・暗いといった響きの違いを生みます。つまり音階は音程を組み合わせて作った音の列で、音程は音階を作る部品にあたります。
音程とキー・音域・オクターブの違い
キーとは、曲の中心になる音(主音)とその音階のことです。カラオケで「キーを下げる」と言うと、メロディ全体を同じ幅だけ低くずらすことを指し、メロディの中の音程(音と音の距離)は変わりません。キーと音程の違いはここにあります。
音域は、ある人が出せる音、またはある曲で使われる音の範囲です。「音程が高い曲」と言われることがありますが、正確には「音域が高い曲」「キーが高い曲」です。オクターブは8度の音程のことで、周波数がちょうど2倍になる関係です。オクターブ違いの音は同じ音名(ドとド)で呼ばれ、とてもよく溶け合って聞こえます。
音程と音色・音量・リズム・メロディの違い
音の性質は、高さ(音高)・大きさ(音量)・音色の3つに分けて考えられ、これを音の三要素と呼びます。音程は高さに関する言葉なので、声の明るさや響きといった音色、声の大きさである音量とは別の要素です。「音程は合っているのに下手に聞こえる」ときは、音色や音量の変化(抑揚)に原因があることがよくあります。
時間の側の要素がリズムです。音程とリズムの違いは「縦(高さ)」と「横(タイミング)」の違いで、この2つが組み合わさってメロディができます。メロディとは音高の連なりをリズムに乗せた線であり、音程はその線の上がり下がりの幅を決めています。メロディの形は「上がる・下がる・同じ」の3方向と、その幅(音程)で覚えると歌いやすくなります。
音程の英語表記と外国語・言い換え
音程を英語で言うときは、「2音の差」の意味ならインターバル(interval)、「歌の正しい高さ」の意味ならピッチ(pitch)を使うのが基本です。日本語の「音程」1語が英語では2つに分かれる、と覚えておくと英語の教材や音楽アプリの表示で迷いません。
英語での音程の表記と例文
| 日本語 | 英語表記 | 略記 |
|---|---|---|
| 音程(2音の差) | interval | — |
| 完全音程 | perfect interval | P(例: P5) |
| 長音程 / 短音程 | major / minor interval | M / m(例: M3 / m3) |
| 増音程 / 減音程 | augmented / diminished interval | A / d(例: A4 / d5) |
| 正しい音程で | in tune / on pitch | — |
| 音程が外れている | out of tune / off pitch | — |
| 音程が低い / 高い | flat / sharp | ♭ / ♯ |
増は英語でaugmented、減はdiminishedです。たとえば「減5度」はdiminished fifth、「長3度」はmajor third と表記します。音程が低いときは「You're a little flat.(少し低いよ)」、正確な音程で歌えていることは「Her pitch is very accurate.」「She sings perfectly in tune.」のように言います。楽器や声の音程を合わせることは「tune」「match the pitch」、ピアノの音程がずれていることは「The piano is out of tune.」です。音楽の授業で習う英語の音名(C・D・E…)については第9章でまとめます。
ドイツ語・フランス語・スペイン語など外国語での音程
音程を表す語は、ドイツ語でIntervall(インターヴァル)、フランス語でintervalle(アンテルヴァル)、スペイン語でintervalo(インテルバロ)、イタリア語でintervallo(インテルヴァッロ)といい、どれもラテン語の「間(あいだ)」を語源とする同じ系統の言葉です。音名の呼び方は国によって違い、下の表のようになります。
| 言語 | 音名(ドレミファソラシ) | 備考 |
|---|---|---|
| イタリア語 | Do Re Mi Fa Sol La Si | 日本の「ドレミ」の元 |
| フランス語 | Do(Ut) Re Mi Fa Sol La Si | ドをUtと書くこともある |
| スペイン語 | Do Re Mi Fa Sol La Si | イタリア語とほぼ同じ |
| ドイツ語 | C D E F G A H | シはB でなくH |
| 英語 | C D E F G A B | アルファベット表記 |
| 日本語 | ハ ニ ホ ヘ ト イ ロ | ハ長調などの調名に残る |
ドイツ語では英語のBにあたる音をH(ハー)と呼び、Bはその半音下(シ♭)を指します。クラシックや吹奏楽の現場ではドイツ語の音名が使われることが多いので、吹奏楽部で「Bの音」と言われたらシ♭のことだと覚えておきましょう。
音程の言い換え・類語・別の言い方と誤用
日本語で音程の別名・類語として使われる言葉には「音の隔たり」「インターバル」「度数」などがあります。歌の文脈での言い換えなら「ピッチ」「音の高さ」「音取り(おんとり)」が近い意味です。合唱や吹奏楽では、正しい高さで歌うことを「音程がいい」、全体の高さをそろえることを「ピッチを合わせる」と呼び分けることもあります。ローマ字では「ontei」と書きます。
なお「この音の音程は何?」「音程が高い曲」のように、1つの音の高さや曲の音域を指して「音程」と呼ぶのは、厳密には誤用とされることがあります。楽典の用語としては、1音の高さは音高、曲の高さは音域やキーと呼ぶのが正確です。ただ日常会話では十分に通じる用法なので、この記事でも見出しなどで「音程が低い曲」のような一般的な呼び方を併用しています。
音程の度数とは|数え方と一覧表(1度〜8度・9度以上)
音程の大きさは度数で表します。度数とは、2つの音が楽譜や鍵盤の白鍵で何段(何音名)離れているかを、両端の音も含めて数えた数です。ドからミなら「ド・レ・ミ」で3つなので3度、ドからソなら「ド・レ・ミ・ファ・ソ」で5度になります。
度数の数え方|同じ音は0度ではなく1度
数え方で最初につまずくのが「同じ音どうしは何度か」です。答えは1度で、0度という音程はありません。スタートの音を「1」と数えるからです。1度とは「同じ高さ(同度)」、2度とは「隣の音」のことだと覚えておきましょう。ドとドは1度(同度)、ドとレは2度、ドと1つ上のドは8度(オクターブ)になります。
- 低い方の音を「1」と数える
- 楽譜の線と間(または白鍵)を1段ずつ上がりながら「2、3、4…」と数える
- 高い方の音に着いたときの数が度数
音程は上下どちらの向きでも同じように数えます。ミから下のドを数えても3度です。「3度上」「3度下」のように向きを添えて言うのは、ハモリのパートを説明するときによく使う言い方で、主旋律の3度上をハモるのは最も基本的なハーモニーです。
シャープやフラットが付いても度数は音名だけで決まり、変わりません。ドとミ♭も、ドとミも、ドとミ♯もすべて3度です。シャープによって変わるのは度数ではなく、次の章で扱う「長・短・増・減」の種類のほうです。
度数と半音の数の一覧表
度数だけでは「ド〜ミ(半音4つ)」と「レ〜ファ(半音3つ)」が同じ3度になってしまいます。そこで実際の距離を半音の数で確かめます。半音はピアノの隣り合う鍵盤(黒鍵を含む)の距離、全音は半音2つ分です。ミとファ、シとドの間には黒鍵が無いので、この2か所だけ白鍵どうしが半音になります。
| 度数 | 主な音程名 | 半音の数 | ドから数えた例 |
|---|---|---|---|
| 1度 | 完全1度 | 0 | ド→ド |
| 2度 | 短2度 / 長2度 | 1 / 2 | ド→レ♭ / ド→レ |
| 3度 | 短3度 / 長3度 | 3 / 4 | ド→ミ♭ / ド→ミ |
| 4度 | 完全4度 | 5 | ド→ファ |
| 5度 | 完全5度 | 7 | ド→ソ |
| 6度 | 短6度 / 長6度 | 8 / 9 | ド→ラ♭ / ド→ラ |
| 7度 | 短7度 / 長7度 | 10 / 11 | ド→シ♭ / ド→シ |
| 8度 | 完全8度 | 12 | ド→上のド |
| 9度 | 短9度 / 長9度 | 13 / 14 | ド→上のレ |
| 10度 | 短10度 / 長10度 | 15 / 16 | ド→上のミ |
| 11度 | 完全11度 | 17 | ド→上のファ |
| 12度 | 完全12度 | 19 | ド→上のソ |
この表のように、長2度は全音1つ、長3度は全音2つです。オクターブの中にある音程は半音の数で0〜12の13段階に並び、高さ順にこの一覧表を見れば、音程の大小がひと目でわかります。
8度以上の音程(複音程)|9度・10度・11度・12度
8度を超える音程を複音程、8度以内を単音程と呼びます。9度は「1オクターブ+2度」、10度は「1オクターブ+3度」というように、7を引くと単音程に戻せます(9度→2度、10度→3度、11度→4度、12度→5度)。コードネームの「9th」「11th」はこの9度・11度のことです。歌のメロディで8度以上の跳躍が出てくることは多くありませんが、ハモリや楽器の和音では普通に使われます。
度数の覚え方と、楽譜での見方
度数をわかりやすく覚えるコツは、よく知っている曲の出だしと結びつけることです。自分にとって覚えやすい曲の「最初の2音」を、度数ごとに1曲ずつ決めておくと、耳で聞いた音程を度数に変換しやすくなります。
- 2度: ドレミの歌の「ド→レ」のように隣の音へ進む動き
- 3度: 「ド→ミ」。ハモリで最もよく使う幅
- 5度: 「ド→ソ」。力強く跳ね上がる幅
- 8度: 「低いド→高いド」。同じ音名に戻る感覚
楽譜で度数を読むときは、音符が線の上にあるか間にあるかを見ます。線と線(間と間)なら奇数度(3度・5度・7度)、線と間なら偶数度(2度・4度・6度)になります。この見方を知っておくと、楽譜のメロディを見ただけで跳躍の大きさを数字でつかめるようになります。
音程の種類|長短・完全・増減の見分け方
同じ度数でも、半音の数によって響きが変わります。この違いを表すのが完全・長・短・増・減という音程の種類で、「度数+種類」で音程の名前(名称)が決まります。長短と増減の見分け方は、次の2つのグループを分けて考えるとわかりやすくなります。
- 完全系: 1度・4度・5度・8度。基本は「完全」
- 長短系: 2度・3度・6度・7度。基本は「長」と「短」の2種類
完全音程とは
ここでいう完全とは「協和の度合いが特に高い」という意味です。完全音程とは、1度・4度・5度・8度で、協和の度合いが特に高い音程のことです。ドとソ(完全5度)、ドとファ(完全4度)のように、2つの音がよく溶け合って聞こえるのが特徴です。完全系の度数には「長」「短」がなく、完全を半音広げると増、半音狭めると減になります。たとえば完全4度(半音5つ)を半音広げたドとファ♯は増4度、完全5度(半音7つ)を半音狭めたシとファは減5度です。
長音程と短音程の違い
2度・3度・6度・7度には長(メジャー)と短(マイナー)があり、長のほうが半音1つ広くなっています。長と短の違いは響きの明るさにはっきり表れ、長3度を含む和音は明るく、短3度を含む和音は暗く聞こえます。これがメジャーコードとマイナーコードの違いの正体です。
長短系では、長を半音広げると増、短を半音狭めると減になります。短と減の違いは「長から半音1つ狭めたものが短、2つ狭めたものが減」と覚えるのが近道です。
増音程・減音程と重増・重減
増音程・減音程は、基本の音程(長・短・完全)より半音広い・狭い音程です。さらにもう半音広げると重増、もう半音狭めると重減と呼びます。実際の曲に重増・重減が出てくることはまれで、楽典の問題で問われる程度と考えてかまいません。
よく出てくる増減音程には次のようなものがあります。
- 増1度: ドとド♯のように、同じ音名で半音ずれた音程。完全1度を半音広げたもの。減1度は理論上の扱いが分かれるため、一般的な楽典ではほとんど使いません
- 増2度: ドとレ♯(半音3つ)。和声的短音階の6番目と7番目の音の間に現れ、エキゾチックな響きになる
- 増3度・減6度: 実際の響きは完全4度・完全5度と同じ幅になる珍しい音程
- 増4度・減5度: どちらも半音6つ。オクターブをちょうど半分に分ける音程で「三全音(トライトーン)」と呼ばれ、不安定で緊張感のある響き
長短・増減の見分け方の手順
音程の種類を見分けるには、まず度数、次に半音の数の順で確かめます。
- シャープ・フラットを無視して度数を数える(例: レとファ♯ → レ・ミ・ファで3度)
- 半音の数を数える(レ→ファ♯は半音4つ)
- 第4章の一覧表と照らす(3度で半音4つ → 長3度)
もう1つの方法は、ドから始まる長音階を基準にすることです。長音階の主音から各音までは「完全1度・長2度・長3度・完全4度・完全5度・長6度・長7度・完全8度」なので、低い方の音を主音とする長音階に上の音が含まれていれば長か完全、含まれていなければ半音いくつずれているかで短・増・減を判断します。メジャースケールの形を知っていれば、どの調でも同じ手順で見分けられます。
転回音程・協和音程・異名同音程とコードの音程
度数と種類がわかったら、音楽理論でよく登場する3つの考え方、転回音程・協和音程・異名同音程を押さえておきましょう。どれもハモリやコードの響きを理解するときに役立ちます。
転回音程とは|9の法則
転回音程とは、2つの音の上下を入れ替えたときにできる音程のことです。ドとミ(3度)のドを1オクターブ上げると、ミと上のドの音程は6度になります。転回には次のルールがあり、一覧で覚えておくと便利です。
- 度数は足して9になる(1度↔8度、2度↔7度、3度↔6度、4度↔5度)
- 種類は長↔短、増↔減が入れ替わり、完全は完全のまま
| 元の音程 | 転回音程 |
|---|---|
| 長2度 | 短7度 |
| 短3度 | 長6度 |
| 長3度 | 短6度 |
| 完全4度 | 完全5度 |
| 増4度 | 減5度 |
| 完全1度 | 完全8度 |
協和音程と不協和音程の一覧
2つの音を同時に鳴らしたとき、よく溶け合う音程を協和音程、ぶつかり合って緊張感のある音程を不協和音程と呼びます。
| 分類 | 音程 | 響き |
|---|---|---|
| 完全協和音程 | 完全1度・完全8度・完全5度(完全4度) | ほぼ1つに溶け合う |
| 不完全協和音程 | 長3度・短3度・長6度・短6度 | 豊かで心地よい |
| 不協和音程 | 長短2度・長短7度・増減音程 | ぶつかる、解決したくなる |
完全4度は、和声の理論では低音との関係によって不協和として扱われることもあります。ハモリで3度や6度が多用されるのは、不完全協和音程が「溶け合いすぎず、ぶつかりもしない」ちょうどよい響きだからです。
異名同音程とは
異名同音程とは、ピアノで弾くと同じ鍵盤の組み合わせ(同じ半音数)なのに、楽譜上の書き方が違うために名前が違う音程です。代表的なものを一覧にします。
- 増4度(ド→ファ♯)と減5度(ド→ソ♭): どちらも半音6つ
- 増2度(ド→レ♯)と短3度(ド→ミ♭): どちらも半音3つ
- 長3度(ド→ミ)と減4度(ド→ファ♭): どちらも半音4つ
- 増5度(ド→ソ♯)と短6度(ド→ラ♭): どちらも半音8つ
現在の一般的な調律(平均律)では響きも同じになりますが、楽譜の書き方が違うのは和声の中での役割が違うからです。
コードを作る音程の一覧
コード(和音)は、音程の積み重ねでできています。ルート(根音)から見た音程を一覧にすると、コードの種類の違いが明確になります。
| コード | ルートからの音程 | 例(ルートがド) |
|---|---|---|
| メジャー | 長3度+完全5度 | ド・ミ・ソ |
| マイナー | 短3度+完全5度 | ド・ミ♭・ソ |
| ディミニッシュ | 短3度+減5度 | ド・ミ♭・ソ♭ |
| オーギュメント | 長3度+増5度 | ド・ミ・ソ♯ |
| セブンス | メジャー+短7度 | ド・ミ・ソ・シ♭ |
| メジャーセブンス | メジャー+長7度 | ド・ミ・ソ・シ |
メジャーとマイナーの違いは3度の音が長か短かだけ、という点が音楽理論の大事なポイントです。ハモリを考えるときも、メロディの音がコードの何度にあたるかを知ると、3度上・3度下のどちらが自然に響くかを判断しやすくなります。
音程の練習問題|初級から上級まで(解答つき)
ここまでの内容を確かめる練習問題です。楽典の試験や音楽の授業のテスト、問題集のPDFや学校で配られるプリントに取り組む前の腕試しとして使ってください。答えは各問題のすぐ後にあります。紙に書いてから答え合わせをすると、クイズ感覚で勉強できます。
初級問題|度数を答える
次の2音の度数を答えましょう(低い方の音から数えます)。
- 問1: ド と ファ
- 答え: 4度(ド・レ・ミ・ファで4つ)
- 問2: レ と ラ
- 答え: 5度
- 問3: ミ と 上のド
- 答え: 6度
- 問4: ソ と ソ
- 答え: 1度(同じ音は0度ではなく1度)
- 問5: ファ と 上のミ
- 答え: 7度
中級問題|長短・完全を答える
次の音程の種類まで答えましょう。半音の数を数えると確実です。
- 問6: ミ と ソ
- 答え: 短3度(半音3つ)
- 問7: ファ と ラ
- 答え: 長3度(半音4つ)
- 問8: シ と 上のファ
- 答え: 減5度(半音6つ。完全5度より半音狭い)
- 問9: レ と 上のド
- 答え: 短7度(半音10)
- 問10: ファ と シ
- 答え: 増4度(半音6つ。完全4度より半音広い)
上級問題|増減・転回・異名同音程
- 問11: ド と ソ♯ の音程は?
- 答え: 増5度(5度で半音8つ)
- 問12: ミ♭ と ラ の音程は?
- 答え: 増4度(4度で半音6つ)
- 問13: 長2度を転回すると?
- 答え: 短7度(2+7=9、長→短)
- 問14: 減5度と異名同音程になる音程は?
- 答え: 増4度
- 問15: レ♯ と ファ の音程は?
- 答え: 減3度(3度で半音2つ。短3度よりさらに半音狭い)
インターバル問題を耳で解く練習
楽典の問題を紙で解けるようになったら、次は耳で音程を聞き分けるインターバル問題に挑戦しましょう。ピアノやアプリで2つの音を鳴らしてもらい、何度かを当てる練習です。音程のクイズを出してくれる無料アプリや、耳のトレーニング(イヤートレーニング)用のサイトも多くあります。最初は「2度・3度・5度・8度」の4択から始め、慣れたら長短の区別へ広げます。
音程を体系的に勉強したい場合は、楽典の入門書(本)を1冊手元に置くと、音楽理論のほかの分野(調・和音・リズム)ともつながって理解が深まります。歌のための音感づくりには、ドレミで歌いながら音程を身につけるソルフェージュもおすすめです。
音程と周波数(Hz)・セント|基準音440Hzと442Hz
音の高さは、物理的には空気が1秒間に何回振動するか(振動数・周波数)で決まり、単位はヘルツ(Hz)です。振動が速いほど高い音になります。音程を数値で表すと、2つの音の周波数の「比」になり、ここに数学の考え方が入ってきます。
周波数と音の高さの関係|オクターブは2倍
1オクターブ上の音は、周波数がちょうど2倍になります。ラ(A4)が440Hzなら、1オクターブ上のラは880Hz、1オクターブ下は220Hzです。音程は周波数の差ではなく比で決まるので、低い音域では数Hzの違いが大きな音程のずれになり、高い音域では同じ数Hzのずれがわずかな違いにしかなりません。
平均律では1オクターブを12等分するので、半音上がるごとに周波数は約1.0595倍(2の12乗根)になります。主な周波数の目安を一覧にします。
| 周波数 | 近い音(国際式) | 身近な例 |
|---|---|---|
| 約41Hz | E1 | 4弦ベースの最低音。40Hz前後 |
| 約49Hz | G1 | 50Hzの電源のうなりに近い高さ |
| 約196Hz | G3 | 200Hz付近。男性の話し声の高め |
| 約262Hz | C4 | ピアノ中央のド |
| 440Hz | A4 | チューニングの基準音 |
| 約494Hz | B4 | 500Hz付近 |
| 約587Hz | D5 | 600Hz付近。女性の歌の高め |
基準音とは|440Hzと442Hzの違い
楽器や声の音程を合わせるときの目印になる音を基準音といい、国際的にはラ(A4)=440Hzが標準です。身近な例では、NHKの時報の「ピ・ピ・ピ」は440Hz、最後の「ポーン」は1オクターブ上の880Hzといわれています。
一方、日本のオーケストラや吹奏楽では、少し明るく華やかに響く442Hzを基準にすることが多くあります。440と442の差は約8セント(次項)で、歌っていて気づく人は多くありませんが、ピアノと管楽器を合わせるときなどには問題になるため、合奏の前に基準音をそろえます。カラオケ音源や一般的なポップスは440Hz基準がほとんどです。
なお528Hz(ソルフェジオ周波数)などの特定の周波数に「癒やし」などの効果があると宣伝されることがありますが、そうした効果の科学的な根拠は確認されていません。音程の練習では440Hzを基準にした音を使えば十分です。
セントとは|半音を100等分した音程の単位
セント(cent)は、音程の細かいずれを表す単位で、半音=100セント、1オクターブ=1200セントです。ヘルツが「音の高さ」の単位なのに対し、セントは「2音の比(音程)」の単位なので、どの音域でも同じ感覚で使えるのが利点です。チューナーや音程チェッカーの針が「+20」「-15」のように表示するのはセントの数値です。
- 1セント: 人の耳ではほぼ聞き分けられない差
- 5〜10セント: 2音を同時に鳴らすと、うなりとして気づける人が多い差
- 20セント: 単独で聞いても「少し低い(高い)」と感じやすい差
- 50セント: 半音の半分。明らかに音程が外れて聞こえる
セントとヘルツの関係は、周波数の比の対数(2を底とする対数に1200をかけた値)で計算します。たとえばA4の440Hz付近では、20セントはおよそ5Hzの差にあたります。
純正律と平均律|同じ3度でも響きが違う理由
周波数が簡単な整数比になる音程ほどよく響きます。完全5度は2:3、長3度は4:5です。この整数比どおりに音を並べた調律を純正律、1オクターブを12の半音に均等に分けた調律を平均律と呼びます。平均律の長3度は純正律より約14セント高く、完全5度は約2セント狭くなっています。
ピアノは平均律で調律されていますが、合唱やアカペラでは、声どうしの響きが最もきれいに溶け合う純正律に近い高さへ自然に寄せて歌うことがあります。ハモリで「ピアノと同じ高さなのに響きが濁る」と感じたら、3度の音をわずかに低めに取ると溶け合うことがあります。
音名の表記|国際表記(C4・A4)とカラオケ表記(mid2C・hiA)の対応
音程チェッカーや音域の情報を見ると、「C4」「A4」のような表記や、「mid2C」「hiA」のような表記が出てきます。どちらも1つの音の高さ(音名とオクターブ)を示す記号で、表記の方式が違うだけです。ここで読み方を整理しておきましょう。
アルファベットの音名(ABC)とシャープ・フラット
英語式の音名は、ドから順にC・D・E・F・G・A・Bのアルファベット(ABCの7文字)で表します。1オクターブの中の白鍵の7音に、それぞれ名前が付いている形です。ラがAから始まるのは、昔はラの音を基準に数えていたなごりです。
| ドレミ | 英語式 | 日本式 |
|---|---|---|
| ド | C | ハ |
| レ | D | ニ |
| ミ | E | ホ |
| ファ | F | ヘ |
| ソ | G | ト |
| ラ | A | イ |
| シ | B | ロ |
シャープ(♯)とは音を半音上げる記号です。フラットとは、反対に音を半音下げる記号(♭)です。C♯(ド♯)は「シーシャープ」、B♭(シ♭)は「ビーフラット」と読みます。アプリなどではシャープを「#」で表示することが多く、「A#」はラ♯のことです。
国際表記(C4・A4)の読み方
国際表記(科学的音名表記)は、音名のあとにオクターブの番号を付けます。ピアノの中央のドがC4、基準音のラがA4(440Hz)です。番号はCから切り替わるので、B3のすぐ上がC4になります。C3はC4の1オクターブ下、C5は1オクターブ上です。なお、機材やソフトによっては中央のドをC3と表示するものがあるため、表示がずれていると感じたら設定や説明書を確認しましょう。
カラオケ表記(mid2C・hiA)とは
日本のボイトレやカラオケでは、low・mid1・mid2・hi・hihiという接頭辞を付けた表記がよく使われます。国際表記と違い、切り替わりがAにあるのが特徴で、mid2G♯のすぐ上がhiAです。
- hiAとは: A4(440Hz)のこと。男性が地声で出す高音の目安としてよく話題になる音
- midとは: 中音域を表す接頭辞。mid1は1つ下、mid2は中央のドを含むオクターブ
- hihiAとは: hiAの1オクターブ上のA5。女性の高音域
- lowとは: mid1より下の低音域。lowGはG2
国際表記とカラオケ表記の対応一覧
よく検索される音を中心に、2つの表記の対応を一覧にします(周波数は平均律・A4=440Hzのときのおよその値)。
| 国際表記 | カラオケ表記 | 周波数 |
|---|---|---|
| E2 | lowE | 約82Hz |
| F2 | lowF | 約87Hz |
| G2 | lowG | 約98Hz |
| C3 | mid1C | 約131Hz |
| B3 | mid2B | 約247Hz |
| C4 | mid2C | 約262Hz |
| F4 | mid2F | 約349Hz |
| G4 | mid2G | 約392Hz |
| A4 | hiA | 440Hz |
| B4 | hiB | 約494Hz |
| C5 | hiC | 約523Hz |
| E5 | hiE | 約659Hz |
| F5 | hiF | 約698Hz |
| G5 | hiG | 約784Hz |
| A5 | hihiA | 880Hz |
| B5 | hihiB | 約988Hz |
| A#6 | hihihiA# | 約1865Hz |
hiC(C5)やhihi(hihiA以上)の音は、一般に男性なら裏声やミックスボイス、女性でも高音域の技術が必要になることが多い高さです。曲の最高音をこの表記で調べたいときは、当サイトの曲の音域データベースで、曲ごとの最高音・最低音を確認できます。
音程がわかる仕組みと音感|絶対音感・相対音感と才能・年齢
ここからは歌の音程の話です。歌で音程を合わせるには、①音を聴く → ②高さを覚える → ③声で出す → ④自分の声を聴き直して修正するという4つの働きが一続きで回っている必要があります。音程がいい人は、この循環がすばやく正確に回っている人です。
この循環のうち、①②④をまとめて音感と呼びます。音感には大きく分けて絶対音感と相対音感の2種類があります。
絶対音感と相対音感の違い
絶対音感(英語でperfect pitch / absolute pitch)とは、基準の音が無くても、聞いた音の音名を言い当てられる能力です。一方の相対音感は、基準の音からの距離(音程)で音の高さを捉える能力です。
| 項目 | 絶対音感 | 相対音感 |
|---|---|---|
| わかること | 1音だけで音名がわかる | 2音の間の音程がわかる |
| 身につく時期 | 幼児期の訓練が中心 | 大人になってからも伸ばせる |
| 歌への必要性 | 無くても問題ない | 音程をとる土台になる |
歌が上手い人や音程を外さない人の多くは、絶対音感ではなく相対音感で歌っています。メロディは「前の音からどれだけ動くか」の連続なので、歌の音程に必要なのは相対音感です。絶対音感が無いから音程がとれない、ということはありません。
音程をとる力は才能や遺伝で決まる?
絶対音感については遺伝的な要素が関わる可能性を指摘する研究もありますが、歌の音程(相対音感と発声のコントロール)は練習で伸ばせるというのがボイトレの一般的な考え方です。生まれつきの才能で差があるように見えても、その多くは「子どものころにどれだけ歌や音楽に触れてきたか」という経験の差です。
大人になってから練習を始めても、音程は改善できます。まずは「2つの音のどちらが高いか低いか」の聞き分けから始め、少しずつ細かい違いを認識できるように耳を鍛える方法が近道です(具体的な方法は第14章)。
高いか低いかわからないときの耳の鍛え方
音程がわからない人の中には、2つの音の高い・低いの聞き分けそのものが難しい人もいます。「高い低いがわからない」という状態です。その場合は次の順番で耳を鍛えていきます。
- ピアノやアプリで、離れた2音(ドと上のド)を鳴らして「どちらが高いか」を答える
- 慣れたら5度、3度、2度と差を小さくしていく
- 1音を鳴らしたあとで自分の声を出し、「声のほうが高いか低いか」を答える
- 録音して聴き直し、自分の答えが合っていたか確認する
高さの認識は、声の「大きさ」や「明るさ」と混同しやすいのが特徴です。大きい声を高いと感じてしまう場合は、同じ音量の2音で練習すると聞き分けやすくなります。
子どもは何歳から音程がとれる?年齢との関係
子どもの音程は、年齢とともに少しずつ育っていきます。2歳ごろには歌の一部をまねて歌えるようになる子も多いものの、音程はまだ大まかで、2歳で正確に音程が取れるかどうかには大きな個人差があります。5歳前後になると、短い童謡なら音程をかなり正確に歌える子が増えていきます。
絶対音感は、一般に幼児期(おおむね6歳ごろまで)に訓練を始めると身につきやすいとされています。ただし、前述のとおり歌に必要なのは相対音感で、こちらは年齢を問わず伸ばせます。「何歳からでは遅い」ということはないので、大人でも安心して練習を始めてください。
音程がわからない・取れない原因|音痴との関係と病気の可能性
「音程が全くわからない」「なぜか音程が取れない」という悩みは、前章の循環(聴く→覚える→出す→聴き直す)のどこでつまずいているかで原因が分かれます。原因によって対策がまったく違うので、まずは自分のタイプを切り分けることが大切です。
音程がわからない原因|耳と記憶の問題
2つの音の高い・低いがよくわからない、メロディを聞いても上がっているのか下がっているのか理解できない、という場合は聴く力(音高の聞き分け)が育っていない状態です。音楽に触れる機会が少なかった人に多く、練習で改善していくのが一般的です。
聞いているときは合っているとわかるのに、自分で歌おうとするとメロディを覚えられない、音程のつかみ方がわからないという人は、メロディの記憶が弱いタイプです。曲を「なんとなく」聞き流していて、音の上下の形を覚えていないことが原因のことが多く、ハミングで細かく区切って覚える練習が効果的です。
音程が取れない原因|声のコントロールの問題
音の高さは正しく聞き分けられるのに、声がその高さに出ない・出せないケースもあります。声帯の長さや張りを調整する筋肉のコントロールがまだ細かくできない状態で、いわば「わかっているのに手が思い通りに動かない」のと同じです。特に次のような場面で音程が取れなくなりがちです。
- 自分の音域の外(高すぎる・低すぎる音)を歌っている
- 喉や肩に力が入り、声帯を細かく調整できていない
- 息の量が足りず、音の終わりで音程が下がる
- 大きく跳ぶメロディで、目的の高さを行き過ぎる・届かない
このタイプは、ロングトーンやスケール練習などの発声のトレーニングで改善していきます。
自分の声が聴けていない|聴き直しの問題
意外と多いのが、歌っている最中に自分の声を聴けていないケースです。伴奏の音が大きすぎる、歌詞を追うのに必死、自分の声が骨を通して響いて実際より高く(または低く)感じる、といった理由で、ずれていても気づけません。録音した自分の歌を聴いて初めて「こんなに外れていたのか」と驚く人はこのタイプです。自分の声を録音して聴き直す習慣をつけることが最大の対策になります。
音痴と音程の関係|病気の可能性はある?
音程が合わない状態は俗に音痴と呼ばれますが、その多くは上に挙げた「耳・記憶・声・聴き直し」のどれかが練習不足な状態で、練習によって改善が見込めます。音程が苦手という自覚があるだけで、実際には少しの練習でかなり合うようになる人も少なくありません。
一方で、ごく一部には先天性失音楽症(先天性音痴)と呼ばれる、音の高さの違いを認識しにくい特性を持つ人がいるとされ、人口の数%程度という報告があります。また、難聴など耳の病気で高さが聞き取りにくくなっている場合もあります。「以前は合っていたのに急にわからなくなった」「耳鳴りや聞こえにくさがある」といった場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科を受診し、聴力の検査を受けてください。
音程がずれる・合わない・ブレる原因と症状別の対策
「だいたいは歌えるのに音程がずれる」という悩みは、ずれ方のパターンで原因をかなり絞り込めます。音程がなぜ合わないのかを、症状ごとに見ていきましょう。
症状別の原因と対策の一覧
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 音の出だしが低く、あとから合う(ぶら下がる) | 目的の高さを準備せずに声を出している | 出す前に頭の中で音を鳴らす |
| 高音で上ずる | 喉に力が入り、勢いで押し上げている | 息を一定にし、喉の力を抜く |
| だんだん下にずれる・フラットする | 息の支え不足、疲れ、低い声の癖 | ロングトーンで息を最後まで保つ |
| 音程が揺れる・ブレる・安定しない | 息の量が一定でない、力み | 弱い声でのロングトーン |
| 半音ずれる・半音下がる | メロディの半音の動きを覚えていない | ピアノで該当箇所を確認 |
| 1オクターブずれる | 音域外で歌いやすい高さに逃げている | キーを合わせる、同じ音名で歌う |
音程が微妙にずれる・少し低く聞こえる
カラオケで音程が微妙にずれる(微妙にズレる)、少しだけ低い、というのは最もよくある悩みです。原因の多くは息の支え不足と音の終わりの処理です。フレーズの最後で息が足りなくなると声帯の張りを保てず、音程が下にずれていきます。息が乱れると、音程がブレブレになることもあります。本人は合っているつもりでも、録音すると全体に低く聞こえることがよくあります。反対に、音の出だしを上から入って下がりながら合わせる癖があると、その部分が高く外れて聞こえます。
また、鼻づまりや風邪で自分の声の響きが普段と違うと、骨を通して聞こえる声の高さの感覚が狂い、音程がずれて聞こえることがあります。体調が悪い日の音程は気にしすぎないようにしましょう。少しずれる程度であれば、原曲を聴きながらハミングで重ねる練習で合っている感覚を身につけると改善していきます。
カラオケで全部外れる・全然合わない
カラオケで曲の全部が外れる、全然合わないという場合は、キーが自分の音域と合っていないか、メロディをまだ正確に覚えていない可能性が高いです。原曲のキーが高すぎると、無意識に1オクターブ下や歌いやすい高さに逃げてしまい、音程バーから全部ずれることになります。キーを下げる(または上げる)、まずは原曲を聴き込んでメロディを覚える、の2つを試してください。伴奏の音量が大きすぎて自分の声が聴こえず、歌がぐちゃぐちゃになっているケースもあるので、マイクと伴奏の音量バランスも見直しましょう。
上手いのに音程が合ってない?と感じるとき
歌が上手い人なのに音程が合ってないように聞こえることがあります。これは多くの場合、しゃくりやフォールなどの装飾で、わざとメロディの音から外れた高さを経由しているためです。表現としての「ずらし」と、コントロールできないずれは別物です。逆に、音程は合っているのに上手く聞こえない人は、音色や強弱などの表現が不足していることがあります。
他人の歌の音程のずれが気持ち悪いと感じるのは、耳が育っている証拠でもあります。音程にとても敏感になると、少しのずれでも狂って聞こえることがあるので、表現の幅として許容できる範囲を知ることも大切です。
ハモリでつられる・人と合わない
合唱やハモリで、他の人のパートにつられるのも音程の悩みの1つです。つられない方法は、自分のパートを単独で完璧に歌えるまで練習してから合わせること、そして相手の声を「避ける」のではなく「自分との音程(3度・6度)」として聴くことです。複数人で歌って音が合わないときは、基準音をピアノで鳴らして全員の音程をそろえてから歌い始めると、ずれの原因がはっきりします。
音程の取り方・合わせ方のコツ|正確にとる7つの方法
ここでは、歌の音程を正確にとるための具体的なコツを紹介します。どれも今日のカラオケからすぐに試せる方法です。音程の取り方の基本は、「出す前に聴く」「動きの形で覚える」「出したあとに確かめる」の3つです。
1. 声を出す前に頭の中で音を鳴らす
音程を外さない人は、声を出す直前に「次の音」を頭の中で鳴らしています。いきなり声を出して探りながら合わせると、出だしが低くなったり上ずったりします。フレーズの前の休符で次の音を思い浮かべ、その高さを狙って声を置くイメージを持つだけで、音程はかなり安定します。
2. メロディの上下を手でとる
メロディの動きを手で音程をとる方法も効果的です。歌いながら、音が上がるときは手を上に、下がるときは下に動かします。手の高さで音の上下の幅が見えるようになり、跳躍の大きさを体で覚えられます。音程のラインを矢印のように描いてみると、どこで大きく跳ぶかが一目でわかります。
3. 基準音と前の音からの距離で考える
音程を正確にとるには、1音ずつ単独で覚えるのではなく、前の音との音程(距離)で捉えることが大切です。「ここは3度上がる」「ここは同じ音」「ここは半音下がる」と動きの形で覚えると、キーを変えても崩れません。曲の最初の音(基準音)だけはピアノやアプリで確かめてから歌い始めると、全体の音程がずれにくくなります。
4. 息の量を一定にして音程を安定させる
音程を安定させる方法として欠かせないのが息のコントロールです。息の勢いが強くなると音程は上ずり、弱くなると下がります。フレーズの最後まで同じ量の息を送り続けることを意識するだけで、語尾の音程の下がりが改善します。息の使い方は歌の呼吸法の記事も参考にしてください。
5. 伴奏やガイドメロディーをよく聴く
カラオケで音程を合わせるコツは、自分の声と伴奏の両方が聴こえる音量に調整することです。ガイドメロディー(主旋律の音)を大きめにして、それに声を重ねる感覚で歌うと合わせやすくなります。慣れたらガイドメロディーを小さくしていきます。
6. 音程を上げる・下げるときは母音をそろえる
音が上がるときに口を大きく開けすぎたり、下がるときに喉を押し下げたりすると、声の響きが変わって音程がブレます。母音の形をできるだけ一定に保ったまま音程を上下させると、声のコントロールがしやすくなります。高い音ほど口の奥(喉の奥)を広く保つ意識を持つと、上ずりも防げます。
7. 口笛やハミングで先に音程をつかむ
歌詞をつけると音程が崩れる場合は、口笛やハミングでメロディをなぞってから歌詞をつけます。口笛の音程の取り方も、歌と同じく「頭で鳴らしてから出す」が基本です。ハミングは喉の力みが入りにくく、音程のコントロールに集中できるので、苦手なフレーズの確認に向いています。これらのコツは、そのまま音程を良くする方法です。続けることで、音程をとる力は確実に上がっていきます。
音程の練習方法とトレーニング|自宅でできるボイトレ
音程は、正しい順番で練習すれば誰でも上達します。ここでは自宅でできる音程のトレーニングを、やさしい順に5段階で紹介します。1日10〜15分でも、毎日続けることが上手くなる方法の近道です。
STEP1: 1音を合わせる(ピアノ・鍵盤アプリ)
ピアノや鍵盤アプリで1つの音を鳴らし、同じ高さで「あー」と伸ばします。最初は自分の話し声に近い高さ(男性ならmid1のドやレ、女性ならmid2のドやレあたり)から始めましょう。合っていると声とピアノの音が溶け合い、ずれていると「うなり」のような揺れが聞こえます。音程チェッカーを併用すると、合っているかを目で確認できます。
STEP2: 2音の音程を歌う
次に「ド→レ」「ド→ミ」「ド→ソ」「ド→上のド」のように、2つの音の間の音程を歌います。第4章の度数の一覧を使い、2度・3度・5度・8度の順で広げていきます。上がる方向ができたら、下がる方向(ソ→ド)も練習します。
STEP3: 音階(スケール)を歌う
「ドレミファソファミレド」のように、音階を上がって下りるスケール練習です。ゆっくりのテンポから始め、半音の場所(ミ→ファ、シ→ド)を特に丁寧に歌います。リップロール(唇をブルブル震わせる発声)でスケールを歌うと、喉の力みが抜けて音程をなめらかにつなぐ感覚がつかめます(リップロールのやり方)。
STEP4: 短いフレーズを耳コピする
好きな曲の2〜4小節を聴いて、ハミングでまねします。この「耳コピ」は、メロディを記憶する力と聴き分ける力を同時に鍛えるトレーニングです。音がわからない箇所は、鍵盤で1音ずつ探して確かめます。ギターを弾く人なら、フレーズをギターで弾いて確かめるのも音程感覚のトレーニングになります。
STEP5: 曲を録音して聴き直す
最後に1曲を通して歌い、必ず録音して聴き直します。ずれた箇所をメモし、その部分だけSTEP1〜4に戻って練習します。スマートフォンの録音機能で十分です。録音を聞くのは最初は恥ずかしいものですが、音程の上達にはこれが最も効果のある方法です。
練習曲の選び方とアプリの活用
音程の練習曲には、テンポがゆっくりで、音の動きが小さく、音域が自分に合った曲を選びます。童謡や唱歌は音の動きがシンプルで、音程の練習に向いています。慣れてきたら、跳躍や半音の多い曲に挑戦していきます。
無料の練習アプリも活用しましょう。音程チェッカー機能のあるアプリ、カラオケ練習用のアプリ、音程当てクイズのアプリなどがあり、1人でも客観的に音程を確認できます。カラオケでの練習の進め方はカラオケの練習方法で詳しく紹介しています。独学で伸び悩んだら、ボイストレーニングの教室で講師に音程のずれを具体的に指摘してもらうのも近道です。
音程チェッカー・音程測定サイト・アプリで音程を確認する方法
音程チェッカー(ピッチモニターとも呼ばれます)とは、マイクから入力した声や楽器の音をリアルタイムで解析し、その音の高さ(音名・周波数)を表示するツールです。自分の声の音程を目で確認できる、いわば手軽な音程測定器です。音程チェックに使えば、耳だけでは判断しにくいずれに気づけます。無料で使えるものが多く、ブラウザで開くWebサイト型と、スマホにインストールするアプリ型があります。
音程チェッカーの種類|ブラウザ(Web)・アプリ・PCソフト
| 種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ブラウザで使う音程測定サイト | インストール不要。PCでもスマホでもWebページを開くだけ | まず無料で試したい人 |
| スマホの音程チェッカーアプリ | iPhone・Androidで手軽。グラフ表示や録音機能つきも多い | 毎日の練習に使いたい人 |
| チューナーアプリ | 1音の高さをメーターと針で細かく判定 | ロングトーンの安定を確認したい人 |
| PCソフト・DAW | 録音した歌の音程を後から分析できる | 歌ってみた・宅録をする人 |
ブラウザ型の音程チェッカーは、Webページを開いてマイクの使用を許可すれば、声の音程をすぐに測定できます。PCでもスマホでも使え、ソフトのインストールが不要なのが利点です。AndroidやiPhoneのアプリには、音階を表示するもの(ドレミの階名で示すもの)、ピアノの鍵盤上に声の位置を表示するもの、歌の音程を曲の間ずっとグラフで記録するものなどがあります。アプリストアで「音程」「ピッチ」「チューナー」などと検索して、表示が見やすい無料のものを選ぶとよいでしょう。
音程チェッカーの使い方と画面の見方
多くの音程チェッカーは、声を検出すると音名(C4やドなど)・周波数(Hz)・ずれの量(セント)を表示します。ずれは、メーターの針や矢印、棒グラフの高さで示され、中央に来ていれば正しい音程、プラス側なら高い、マイナス側なら低いという見方をします。
使い方のポイントは次のとおりです。
- 静かな場所で、マイク(スマホの場合は本体)から20〜30cmほど離れて声を出す
- 「あー」と一定の音量でロングトーンを出し、針が中央で止まるか確認する
- ピアノアプリや楽器で出した音と同じ音名になるか照らし合わせる
- グラフで記録できるタイプなら、フレーズを歌って音程の揺れやずれた箇所を見る
雑音が多いと音の認識を誤りやすく、1オクターブ違う音名が表示されることもあります。息の多い声や小さすぎる声も読み取りが不安定になるので、はっきりした声で測定しましょう。
音程チェッカーを練習に活かすコツ
音程チェッカーは便利ですが、画面を見ながらでないと音程が合わない状態を目指すわけではありません。目で確認する練習と、耳だけで歌う練習を交互に行い、「耳で合っていると感じた音が、チェッカーでも合っているか」を答え合わせする使い方が効果的です。
- ロングトーンで1音を±10セント以内に保つ練習をする
- スケールを歌い、半音の位置で針がどちらに外れやすいかを知る
- 曲の苦手なフレーズを歌い、グラフで音程の入り方(下から入っていないか)を確認する
自分の声の音域(最低音・最高音)を測る、つまり計測するのにも音程チェッカーが使えます。出せる一番低い音と一番高い音を測って記録しておくと、歌う曲の選び方やキーの調整に役立ちます。また、テスト形式で音程の聞き取りや歌唱を判定してくれるアプリやサイトもあり、音感の診断や腕試しに使えます。
音程ゲームとは|声でボールを動かすTikTokのゲームと遊び方
音程ゲームとは、声の高さでキャラクターやボールを操作したり、流れてくる音と同じ高さの声を出して得点を競ったりするゲームの総称です。音程チェッカーと同じ仕組みでマイクの声を検出していて、遊びながら音程の感覚を鍛えられることから、練習の息抜きとしても人気があります。
TikTokで流行りの音程ゲーム(ドレミで壁を抜けるゲーム)
TikTok(ティックトック)などのショート動画で流行したのが、声の高さでボールを上下させ、右から迫ってくる壁の穴を通り抜けて進むタイプの音程ゲームです。画面の壁にはドレミの音に対応した高さに穴が開いていて、「ド・レ・ミ・ファ…」と正しい音程で歌えるとボールが穴の高さに移動し、壁を抜けて先へ進めます。音程がずれるとボールが壁にぶつかってしまうので、ずれが一目でわかるのが特徴です。
やり方は、アプリのエフェクト(フィルター)を選んで撮影を始め、画面の指示に合わせて声を出すだけです。エフェクトの名前や仕様は時期によって入れ替わるため、アプリ内で「音程」「ドレミ」「ゲーム」などと検索して探すのが確実です。海外発のエフェクトも多く、各国のユーザーが同じゲームに挑戦する動画が投稿されています。
音程ゲームのアプリ・サイトの種類
- 声で操作するアクションゲーム: 声の高さでボールやキャラクターを上下させ、障害物を避けて進む
- 音当てゲーム: 流れた音やメロディの音程を当てる。ピアノの音で出題されるものが多い
- 歌唱テストゲーム: お手本の音と同じ高さで歌えたかを判定し、点数を出す
無料のゲームアプリやブラウザで遊べるゲームサイトも多くあり、ピアノの鍵盤と連動したものや、ドレミの階名を表示してくれるものなど種類はさまざまです。
音程ゲームを練習に活かすコツ
音程ゲームで高得点を出すコツは、音を出す直前に頭の中で目的の高さを鳴らしておくことと、息を一定にしてボールを揺らさないことです。これは第13章で紹介した音程の取り方そのもので、ゲームで壁を抜けられるようになると、歌の音程にもそのまま効いてきます。
ただし、ゲームは1音ずつの反応を競うものが多く、メロディの流れの中で音程をとる力とは別の部分もあります。ゲームは楽しく音感を鍛える入口として使い、本格的な練習は音階や曲の練習と組み合わせましょう。
カラオケの音程とは|音程バーの見方と音程正確率の目安
カラオケで音程とは、画面に表示されるお手本のメロディ(ガイドメロディー)と、自分の声の高さがどれだけ一致しているかのことです。DAMやJOYSOUNDなどの採点機能では、これを音程バーで表示し、音程正確率(音程の一致率)としてパーセントで評価します。
音程バーの見方と出し方
音程バーとは、歌詞の上に横長の棒で表示されるお手本のメロディのことです。棒の上下の位置が音の高さ、横の長さが音の長さを表しています。歌うと自分の声の高さが線や色で重ねて表示され、バーに声が重なると色が変わるなどして「合っている」ことがわかります。
声の線がバーより上に行くなら音程が高すぎ(上ずり)、下なら低すぎ(フラット)です。バーの左端で声が下から入ってくるなら「ぶら下がり」、後半で下がっていくなら息の支え不足、と第12章のずれ方と照らし合わせると、音程が合わない原因を判断できます。
音程バーを出すには、カラオケの機種で採点メニュー(DAMなら精密採点、JOYSOUNDなら分析採点など)を選んで予約します。通常の採点では表示されないことが多いので注意しましょう。カラオケアプリ(ポケカラなど)でも、採点をオンにすると音程バーが表示されるものがあります。音程バー付きの歌詞表示は、メロディの上下が目で見えるので練習用の教材としても役立ちます。
音程正確率とは|何パーセントあれば上手い?
音程正確率とは、曲全体のうち、音程バーに声が合っていた割合をパーセントで示したものです。採点の中でも得点への影響が大きい項目で、高得点を目指すならまず音程正確率を上げるのが近道といわれます。何パーセントあれば上手いかの目安は次のとおりです(機種や曲の難しさで変わる、あくまで一般的な目安です)。
| 音程正確率 | 状態の目安 |
|---|---|
| 60%台以下 | メロディがまだあやふや。まず曲を覚える段階 |
| 70%台(75パーセント前後) | 大まかには合っているが、ずれる箇所が多い |
| 80%台 | 8割以上合っていて、上手いと言われ始める |
| 85〜90% | 90点台を狙える水準とされることが多い |
| 90%以上 | 音程バーをほとんど外さない。95%前後はかなり正確 |
70パーセント台から80パーセント台に上げるには、ずれた箇所の特定と部分練習が効きます。採点後に表示される区間ごとの音程グラフ(JOYSOUND(ジョイサウンド)の分析採点など)を見れば、曲のどこで音程が外れたかがわかるので、そのフレーズを重点的に練習しましょう。
音程は合ってるのに点数が低い・バーに合わないとき
「音程は合ってるのに70点」「音程正確率は高いのに点数が伸びない」ということもあります。カラオケの点数は音程だけでなく、音の安定感、リズム(タイミング)、抑揚やビブラートなどの表現も評価しているためです。機種によっては、表現力などを評価して加点するボーナスの仕組みもあります。音程バーに合わないのにうまく聞こえる場合は、原曲の歌い方がガイドメロディーと違う(崩して歌っている)ことも考えられます。
バーに合わせるコツは、音の出だしの高さを正確に当てることと、音の長さの最後まで同じ高さを保つことです。ガイドメロディーの音量を上げて耳で確認しながら歌うと、音程バーに合わせやすくなります。なお、JOYSOUNDとDAMでは音程バーの判定の仕方が少しずつ違うといわれ、同じ歌でも機種によって正確率が変わることがあります。100点を狙うような上級者は、機種ごとの特徴を知っておくとよいでしょう。
音程(キー)を変える・補正する方法|カラオケ・アプリ・編集ソフト
「曲の音程を下げたい」「録音した歌の音程を直したい」というときは、目的によって使う方法が違います。ここでは、カラオケのキー変更、音源の音程を変えるアプリやサイト、歌の音程を補正するソフトの3つに分けて紹介します。
カラオケのキー変更|プラス・マイナスの意味
カラオケのキー変更は、曲全体の音程を半音単位で上げ下げする機能です。「+1」で半音上がり、「-1」で半音下がります。変更できる幅は機種によって異なりますが、多くの機種で上下6〜7程度まで変えられます。
男性が女性の曲を歌うときは-4〜-6、女性が男性の曲を歌うときは+4〜+6あたりが試しやすい目安です。-12や+12にすると1オクターブ違いの原曲キーと同じ音名になるため、変更幅の上限を超える場合は「1オクターブ下で原曲キーのまま歌う」という選び方もあります。キーを変えてもメロディの中の音程は変わらないので、覚えたメロディの形はそのまま使えます。
音源の音程を変えるアプリ・サイト・ソフト
練習用に原曲の音程を下げたり上げたりしたいときは、音程(ピッチ)を変更できるアプリやサイトを使います。
- 音程変更アプリ: 音楽ファイルのキーを半音単位で変えられる無料アプリが多数ある。テンポを保ったまま音程だけを変えられるものが練習向き
- Webサイト: 音声ファイルをアップロードして音程を変えるサイトもある。著作権のある音源の扱いには注意する
- メディアプレーヤー: VLCなど一部のプレーヤーは、バージョンによってはオーディオエフェクトの設定でピッチを変更できる
- 動画編集ソフト: Premiere Pro(プレミアプロ)などの動画編集ソフトには、音程を調整するピッチシフターのエフェクトがある
YouTube(ユーチューブ)の再生画面には音程を変える標準機能がないため、YouTubeの音源のキーを変えて練習したい場合は、ブラウザの拡張機能などを使う方法があります。なお、レコード(vinyl)やテープは再生速度を変えると音程も一緒に変わります。デジタルの音程変更アプリは、この速度と音程を切り離して処理できるのが利点です。
歌の音程を補正するソフト・プラグイン
音程補正(ピッチ補正)とは、録音した歌のずれた音程をソフトで正しい高さに修正することです。「歌ってみた」の制作や宅録では広く使われています。
- DAWの補正機能: Logic Pro(ロジックプロ)には、音符ごとに音程を調整できるFlex Pitchや、自動で音程を補正するPitch Correctionのプラグインがある。ほかのDAWにも同様の機能がある
- 補正プラグイン: DAWに追加して使う専用の補正プラグイン。自動補正とグラフで手動調整するタイプがある
- AIの補正機能: 近年はAIで自動的に音程を整えるツールやアプリも登場している
- マイク・エフェクターの補正: 配信用のオーディオインターフェースやエフェクターに、リアルタイムで音程を補正する機能を持つものもある
無料で使える補正ソフトもありますが、補正をかけすぎると機械的な声になります。補正はあくまで仕上げの調整として使い、基本の音程は練習で身につけるのが理想です。ピッチ補正の仕組みは歌のピッチの記事でも解説しています。
ゆっくりボイス・VOICEVOXなどの声の音程を変える
動画のナレーションなどに使われるゆっくりボイスや、VOICEVOXなどの音声合成ソフトでは、キャラクターの声の高さ(音程)を設定で調整できます。VOICEVOXは文章の抑揚や音の高さを細かく編集でき、歌わせる機能もあります。調整するときは、極端に高く・低くしすぎると聞き取りにくくなるので、少しずつ変えて確認しましょう。
音程が低い曲・高い曲・取りやすい曲の選び方と探し方
「音程が低い曲」「音程が高い曲」は、正確には音域やキーが低い・高い曲のことです(第3章)。カラオケで歌いやすい曲を選ぶには、曲の名前よりも曲の音域が自分の音域に収まっているかを基準にするのが確実です。
自分の音域と曲の音域の重なりで選ぶ
まずは音程チェッカーで自分の出せる最低音と最高音を測り、曲の最低音・最高音と比べます。曲の音域が自分の音域の中に収まり、特に最高音に少し余裕がある曲が、音程を取りやすく歌いやすい曲です。
最高音がはみ出す曲でも、前章のキー変更で下げれば歌いやすくなります。逆に自分の音域が高い人にとっては、音程が低い曲の低音が出しにくいこともあるので、キーを上げて調整しましょう。
音程が低い曲・高い曲の特徴(男性・女性・ボカロ)
「音程が低い曲 男」「音程が低い曲 女」のように性別を付けて探す人が多いので、男女別の目安を挙げます。
- 男性で音程が低い曲: 最高音がmid2E〜mid2G(E4〜G4)程度に収まり、話し声に近い高さで歌える曲。落ち着いたバラードやフォーク調のJ-POPに多い
- 女性で音程が低い曲: 最高音がhiC〜hiD(C5〜D5)程度に収まる曲。低めのハスキーな声の女性アーティストの曲に多い
- ボカロ曲: 人間の音域の制約を受けずに作られるため、音程が高い曲、跳躍が大きい曲が多い。ボカロで低い曲を探すなら、音域を調べてから選ぶのが確実
音程が高い曲は、サビでhiA(A4)以上が続く男性曲や、hihiA(A5)付近を使う女性曲などです。原曲キーにこだわらず、キーを変えて歌うと多くの曲を楽しめます。
音程が取りやすい曲・難しい曲の違い
音程の取りやすさは、音域だけでなくメロディの動き方でも決まります。
| 項目 | 取りやすい曲 | 音程が難しい曲 |
|---|---|---|
| 音の動き | 隣の音へ順に動く | 大きな跳躍が多い |
| 半音 | 少ない | 半音の上下や転調が多い |
| テンポ | ゆっくり〜中くらい | 速く、音数が多い |
| 伴奏 | メロディをなぞる楽器がある | メロディと離れた和音が多い |
音の高さがあまり動かない、音程が一定に近い曲は、ラップ調の曲や語りに近い曲に見られ、音程の取りやすさでは初心者向きです(ただしリズムは難しいことがあります)。反対に、aikoの曲のように半音の動きや独特のメロディラインが多い曲は、カラオケで音程が取りづらい曲としてよく名前が挙がります。ボカロ曲も、速いテンポと大きな跳躍で音程が難しい曲が多いジャンルです。
曲の音域・音程を調べる方法
歌いたい曲の最高音や音域を調べるには、曲名で歌検索をして音域をまとめたサイトを探すほか、当サイトの曲の音域データベースで曲検索し、最高音・最低音を確認する方法があります。最高音の高さで曲を探す機能もあるので、「自分の最高音で歌える曲」を探すときに使えます。音楽検索アプリの中には、鼻歌から曲を探せるものもあります。
楽器の音程の合わせ方|ギター・弦楽器・吹奏楽の管楽器
音程は歌だけでなく楽器でも重要です。楽器によって音程の決まり方と合わせ方(チューニング)が大きく違うので、代表的な楽器ごとにポイントをまとめます。どの楽器でも、チューナーアプリで基準音(440Hzまたは442Hz)に合わせるのが基本です。
ギター・ベースの音程の合わせ方
ギターチューニングの基本として、6弦ギターの標準的なチューニングは、低い弦(6弦)からE2・A2・D3・G3・B3・E4(ミ・ラ・レ・ソ・シ・ミ)です。エレキギターもアコースティックギターも同じで、チューナーで1本ずつ弦の音程を合わせます。5弦ベースは低い方からB・E・A・D・Gの順に張るのが一般的です。弦(げん)は太いほど低い音程になります。
- ギターハーモニクスで合わせる: 5フレットと7フレットの真上に軽く触れて鳴らすハーモニクス(倍音)を、隣の弦どうしで比べると、うなりの有無で細かく音程を合わせられる
- オクターブ調整: 開放弦は合っているのに押さえると音程がずれる場合は、12フレットの音と開放弦の1オクターブ上が一致するよう、ブリッジの位置を調整する
- 指板の音程: 指板は1フレットごとに半音ずつ上がる。フレットの近くを押さえ、押さえすぎないことで音程のずれを防ぐ
ヴァイオリン(バイオリン)・ヴィオラ・チェロの音程の取り方
ヴァイオリンの開放弦はG3・D4・A4・E5で、ヴィオラはC3・G3・D4・A4、チェロはC2・G2・D3・A3です。弦楽器にはギターのようなフレットが無いため、指を置く位置で音程が決まり、数ミリのずれがそのまま音程のずれになります。バイオリンの音程が難しい、音程が悪いと言われるのはこのためです。
音程の取り方は、開放弦と同じ音名の音を押さえたときに楽器全体が共鳴する響きを手がかりにしたり、チューナーやドローン(持続音)に合わせて音階を弾いたりして耳と指の位置を結びつけます。初心者は指板に目印のシールを貼って指の位置を矯正する方法もよく使われます。
吹奏楽の管楽器の音程の合わせ方
管楽器は、管の長さと息・口の形(アンブシュア)で音程が決まります。楽器全体の音程は管を抜き差しして長さを変えて合わせ、個々の音の音程は息と口で細かく調整します。管が長くなるほど音程は低くなります。吹奏楽では、全体の基準の高さを合わせることを「ピッチ」、和音の中の音どうしの関係を「音程」と呼び分けることが多いのも、両者の違いを意識するためです。
| 楽器 | 全体の音程の合わせ方 | 音程の注意点 |
|---|---|---|
| フルート | 頭部管の差し込み具合 | 息の角度で音程が変わる |
| クラリネット | バレル(たる)の抜き差し | 音域の切り替えで音程差が出やすい |
| サックス | ネックへのマウスピースの位置 | 奥へ差すほど高くなる |
| トランペット | 主管抜き差し管 | 低い音は抜き差し管を動かして補正 |
| ホルン | 主管抜き差し管 | ベルに入れた右手でも調整する |
| トロンボーン | 主管抜き差し管 | スライドの位置で音程を作る |
| ユーフォニアム・チューバ | 主管抜き差し管 | ピストンの組み合わせで高くなりやすい |
アルトサックスやテナーサックスでは、ネックだけにマウスピースを付けて吹き、決まった高さの音を安定して出す練習がよく行われます。口の締めすぎや緩めすぎがわかるので、音程を安定させる基礎練習になります。トロンボーンはスライドの位置に目印が無く、歌と同じように耳で音程を作る必要があるため、音程が難しい楽器といわれます。ユーフォニアムで音程が合わないときは、抜き差し管の位置と、指の組み合わせごとのくせを確認しましょう。
管楽器は、吹いて楽器が温まると音程が上がる性質があります。合奏前のチューニングは、しっかり吹いて楽器を温めてから行うのが基本です。
ピアノ・打楽器・リコーダーの音程
ピアノは調律師が音程を合わせる楽器で、演奏者が弾きながら音程を調整することはできません。そのぶん音程の基準として信頼でき、歌の練習の音取りに最適です。打楽器には、スネアドラムやシンバルのように決まった音程を持たないものと、ティンパニや木琴・鉄琴のように音程を持つものがあります。ティンパニはペダルで皮の張りを変え、演奏中に音程を変えられます。
学校で使うリコーダーは、息の強さで音程が大きく変わります。100均などで売られている安価なリコーダーの中には、個体差で音程がずれるものもあるので、音程が合わないと感じたら息を弱めに一定に吹いて確かめ、それでもずれる場合は楽器店で扱う教育用のものを選ぶと安心です。
音程にまつわる言葉|ビタビタ・音程厨・音程迷子・ずらしとは
歌やカラオケの世界では、音程に関する独特の言い回しや俗語がたくさん使われています。SNSや歌ってみた動画のコメントでよく見かける言葉の意味をまとめました。
音程の状態を表す俗語
- 音程ビタビタとは(ビッタビタ)
- 音程がぴったり合っていることを表す俗語です。「音程ビタビタで気持ちいい」のように、音程が正確な歌をほめるときに使われます。
- 音程迷子とは
- 音程が定まらず、どの高さを歌っているのかわからなくなっている状態を、迷子にたとえた言い方です。自虐的に使われることも多い言葉です。
- 音程厨(ピッチ厨)とは
- 音程のわずかなずれに厳しく反応する人を指すネットスラングです。「厨」はもともと否定的な意味合いを持つ言葉なので、人に向けて使うときは注意が必要です。
- 音程厨テスト
- ボカロ曲「音程厨ピッチテスト」(木村わいP feat.初音ミク)などの、だんだん難しくなるメロディで音程の正確さを試す曲や動画を指して使われます。同じ作者の「高音厨音域テスト」は音域を試す曲として知られています。カラオケで歌詞付きの音源が配信されていることもあり、腕試しとして歌われています。
- 音程沼
- 音程の細かいずれが気になり出して、練習や補正にはまり込んでいく様子を「沼」にたとえた言い方です。
表現としての音程の動き|しゃくり・フォール・ずらし・ブルーノート
上手い歌手は、あえてメロディの音から外れた高さを経由して表現をつけています。これらはコントロールされた音程の動きで、ずれとは区別されます。
- しゃくり: 目的の音より低いところから、しゃくり上げるように音程を上げて入る技法
- フォール: 音の終わりで音程を下に落とす技法
- ビブラート: 音程を周期的に細かく揺らして声を伸ばす技法。コントロールできない音程の揺れとは違い、一定の幅と速さで揺れる
- ずらし: 原曲のメロディやリズムをあえて少し変えて歌うこと。フェイクとも呼ばれる
- ブルーノート: ブルースやジャズで、長音階の3度・7度などを少し低めに取ってできる独特の音。ピアノの鍵盤の間にあるような音程感が特徴
- ゴーストノート: 音程をはっきり出さず、息や軽い声で添えるように歌う音。リズムを強調するために使われる
これらのテクニックは、正しい音程で歌える土台があってこそ効果的に使えます。まずはメロディどおりに歌えるようになってから、表現として音程を動かしていきましょう。
音程とリズム・抑揚・ラップの関係
音程と並んで歌の上手さを左右するのがリズムと抑揚です。リズム感が悪いと、音の入りが遅れて音程バーの頭で外れたり、慌てて声を出して上ずったりと、音程にも悪影響が出ます。カラオケでリズムと音程の両方が崩れるときは、まずリズムを整えると音程も安定することがよくあります。抑揚(音量の変化)をつけるときも、声を大きくすると音程が上がりやすいので注意が必要です。
ラップにも音程があります。話すように聞こえても、声の高さの上下(フロウ)があり、トラックのキーから大きく外れると合わない印象になります。ラップが合わないと感じたら、まず自分の話し声の高さがトラックに対して高すぎないか、低すぎないかを確かめ、基準の高さを決めてから言葉を乗せると安定します。
よくある質問
- 音程とピッチの違いは何ですか?
- 音程は2つの音の高さの差、ピッチは1つの音の高さのことです。ただし歌やカラオケでは「音程が合う」「ピッチが合う」がほぼ同じ意味で使われます。
- 同じ音どうしの音程は0度ですか?
- いいえ、1度(完全1度)です。度数は低い方の音を「1」として数えるため、0度という音程はありません。
- 大人になってからでも音程は良くなりますか?
- 良くなります。歌に必要なのは相対音感と声のコントロールで、どちらも年齢に関係なく練習で伸ばせます。1音を合わせる練習から始め、録音して聴き直す習慣をつけるのが効果的です。
- 音程を合わせる方法で一番大事なことは何ですか?
- 声を出す前に、頭の中で次の音を鳴らしておくことです。いきなり声を出して探ると、出だしが低くなったり上ずったりします。あわせて、息の量を一定に保つことも音程の安定に欠かせません。
- 音程チェッカーは無料で使えますか?
- ブラウザで使える音程測定サイトや、スマホの音程チェッカーアプリ・チューナーアプリの多くが無料で使えます。まずは無料のもので声の音程を確認してみましょう。
まとめ
音程とは、2つの音の高さの差のことです。音楽理論では度数(1度〜8度)と種類(完全・長・短・増・減)で表し、歌やカラオケではメロディの正しい高さで歌えているかという意味でも使われます。
- 度数は低い方の音を1と数える。同じ音は1度、オクターブは8度
- 1・4・5・8度は完全系、2・3・6・7度は長短系。半音ずつ広げ狭めると増・減になる
- 音の高さは周波数(Hz)で決まり、細かいずれはセントで表す。基準音はA4=440Hz
- 歌の音程は「聴く→覚える→出す→聴き直す」の循環。わからない・ずれる原因は、耳・記憶・声・聴き直しのどこかにある
- 音程の取り方の基本は、出す前に頭で鳴らす、前の音との距離で覚える、息を一定にする、録音して確かめる
- 音程チェッカーやカラオケの音程バー・音程正確率を使うと、ずれを目で確認できる
音程は才能ではなく、正しい順番で練習すれば誰でも上達します。ただ、自分では合っているつもりでも、どこがどうずれているのかを1人で判断するのは難しいものです。独学で伸び悩んだら、ボイストレーニング教室で講師に耳で聴いてもらい、ずれ方に合った練習を教わるのが最短ルートです。当サイトのボイトレ教室検索では、お住まいの地域や駅から体験レッスンのできる教室を探せます。

